
吐き気や胃痛、下痢、便秘と、とにかくつらい胃腸炎。
せめて気持ちを落ち着かせたい、と、タバコを手に取っていませんか?
そのタバコは傷口に塩をぬるような行為なんです!
なぜ胃腸炎の時のタバコがダメなのか、まとめてみました。
Contents
胃腸炎の時にタバコを吸ってもいいのか?
ひとことで言って、タバコを吸っては「ダメ!」です。
その理由は大きく3つあります。
①タバコに含まれるニコチンが直接的に胃を攻撃する
1)胃酸を大量分泌
ニコチンが吸収されると、胃酸やペプシンが大量分泌されます。
通常胃酸は食べ物が体内に入ったときに分泌されますが、ニコチンだけでも分泌されてしまいます。
胃が空の状態での胃酸は、ダイレクトに胃壁をアタックするため、胃を溶かしてしまいます。
2)唾液の分泌を阻害
タバコを吸うと、唾液の分泌が低下します。
唾液には胃酸を中和する働きがありますので唾液の分泌は胃酸の強化を進めてしまいます。
②タバコに含まれるニコチンが胃を守る機能を破壊する
1)胃粘膜の毛細血管が酸欠に
一般にタバコを吸うと血管が収縮して血行が悪くなると知られています。
胃の血管も同じです。
胃粘膜には毛細血管がはりめぐらされているのですが、タバコのためにこの毛細血管の血流量が減ると胃粘膜は酸欠を起こします。
すると胃粘膜の「胃を守り、修復する力」が弱まってしまい、胃が胃酸に負け、胃腸の荒れや炎症が悪化してしまいます。
2)十二指腸液が逆流
ニコチンは交感神経と副交感神経を刺激して自律神経を攪乱します。
胃が十二指腸と接する部分の筋肉(幽門括約筋)の機能を司る自律神経が乱さすと、十二指腸液や胆汁が胃へ逆流することになり、ここでも胃粘膜が傷つけられてしまいます。
③タバコに含まれるニコチンが十二指腸にもダメージを与える
1)膵液の分泌を阻害
ニコチンは、膵臓にも影響を与え、膵液の分泌量を低減します。
膵液は膵臓から十二指腸に送られ、十二指腸の中の胃酸を中和してくれる作用を持ちます。
その効果が弱まれば、胃酸で十二指腸の炎症が悪化し、十二指腸潰瘍を引き起こしてしまいます。
参考元:http://ichou-daiji.info/stomach_disease/gastritis/360.html
胃腸炎で下痢や胃痛がある時にタバコを吸い続けるとどうなる?
たばこに含まれるニコチンによって自律神経が乱されて副交感神経が優位に働いてしまうと、腸のぜん動運動が活発になり、下痢をしやすくなってしまいます。
つまり、胃腸炎で下痢症状がある中でニコチンを摂取すると、さらに下痢が進んでしまうのです。
胃腸炎による胃痛も同じです。
胃痛の原因は胃酸過多によっておこる胃の荒れ・びらんですので、これを促進するはたらきをするニコチンを摂取すれば、敵に塩を贈ることになってしまいます。
胃腸炎による下痢や胃痛を治したいのであれば、タバコは「ダメ!絶対!」なのです。
それでも続けていると、胃腸炎にとどまらず、胃潰瘍・十二指腸潰瘍に進行する可能性も大きくあります。
潰瘍は胃や腸の粘膜が傷ついて、その一部がなくなった状態です。
胃や十二指腸に穴があいたり、吐血や下血を起こします。
タバコを習慣にしている人は、喫煙しない人にくらべて胃潰瘍や十二指腸潰瘍にかかりやすく、喫煙本数が多いほど死亡率が高いという調査報告があります。
また、一度治っても、再発を呼ぶこともわかっています。
禁煙できなかった人の再発率は約50%と、禁煙した人の約20%にくらべてはるかに高率なんです。
胃腸炎の治療中、薬の服用中にタバコを吸う危険性とは?
タバコに含まれる成分が薬の効果を妨げたり、反対に強く効きすぎることがあります。
胃腸炎の薬に関わらず、服薬中のタバコは危険なんです。
煙に含まれる成分が体内に入ると、肝臓のある種の酵素を活発にさせることがわかっています。
この酵素の働きによって分解される薬は、本来の効果持続時間よりも早く分解され、無効化されてしまいます。
つまり、タバコを吸わない人よりも、効き目が弱くなってしまうのです。
一方、ヘビースモーカーが急にタバコを止めると、この酵素の働きが減少することで薬の分解が抑えられます。
その結果、薬の効果が強くなりすぎてしまい、思わぬ副作用が出る可能性もあり、大変危険です。
喫煙によって効果が変化することがある胃腸薬の成分には、シメチジンがあります。
シメチジンはH2ブロッカーとして知られています。
ガスター10などの市販のH2ブロッカーにはシメチジンは使われていないようですが、そもそもH2ブロッカーは胃壁の受容体にくっついて胃酸の発生を抑える薬です。
胃壁が弱っている状態では効果は物理的に出にくいので、H2ブロッカーの服用中はタバコはお休みしてくださいね。
これらのニコチンによる胃腸への攻撃は、受動喫煙でも起きることがわかっています。
胃腸炎になっている本人だけでなく、家族全員で禁煙に取り組んでいきましょう。
実はタバコが原因の胃腸炎がある?
「タバコを吸う」という行動が、物理的に【逆流性食道炎】を引き起こす場合があります。
逆流性食道炎は、胃酸が胃の入り口の弁を押し上げて湧き上がってくる病気です。
胃酸によるひどい胸やけや呑酸(どんさん:酸っぱい液体が口まで上がってくること)が主な症状です。
逆流性食道炎の原因で最も大きいのは、食習慣(脂肪やタンパク質などの摂りすぎ)ですが、実はタバコもその要因となるという指摘がされています。
タバコを吸いその煙が体内に入り込むと、胸の圧力が一気に高くなります。
するとその圧が胃液を上に押しあげるという現象が起こってしまうのです。
この現象は科学的に証明されているわけではないのです。
しかし、そうでなくてもニコチンの影響で胃酸が多く分泌されている状態ですから、少しの刺激で溢れやすくなっているのは容易に想像ができますよね。
さらに、
大阪市立大の発表によれば、
【禁煙をしただけで逆流性食道炎が治ってしまう可能性がある】 http://mainichi.jp/articles/20160205/k00/00m/040/145000c |
というのです!
これはタバコが逆流性食道炎を引き起こしていることの証明でもありますね。
胃腸炎を悪化させないために禁煙は必要か?
はい、必要です!
胃腸炎の患者さんにとって喫煙は禁忌といってもいいぐらいに、タバコと胃腸炎の関係は深いのです。
さらに治った後も再発防止のため禁煙を続けてほしいです。
胃潰瘍の再発防止に関していうと、 「薬を飲むことよりも、たばこを止めること」の方が、効果的とも言われていて、こんなデータもあるそうです。
喫煙を続けた人は禁煙だけで薬を不要しなかった人の約3倍もの確率で胃潰瘍が再発しています
胃潰瘍の再発率 | (%) |
禁煙だけで抗潰瘍剤を服用しない人 | 16.6% |
禁煙と抗潰瘍剤を併用した人 | 15.3% |
喫煙を続けた人 | 48.3% |
はじめから人非喫煙だった人 | 18.4% |
http://www.menet-hiroshima.jp/kin-en/Illness/shouka.html
web上には胃腸炎や潰瘍の治療をきっかけに、禁煙に成功した人のブログなどが実にたくさん載っています。
いつかはと思いながら喫煙習慣をやめられないでいる方にも、ぜひ禁煙にチャレンジしていただきたいと思います。
まとめ
タバコに含まれるニコチンは、胃腸炎を悪化させます。
- 大量に胃酸を分泌させ、直接的に胃を攻撃する。
- 胃粘膜を傷つけ、胃を守る機能を破壊してしまう。
- 膵液の分泌を抑えることで、十二指腸もただれさせてしまう。
下痢や胃痛のある状態での喫煙は、敵に塩を贈るようなもの。すぐに止めましょう。
胃腸炎の薬のうち、H2ブロッカーを服用している期間中に喫煙をすると、薬が劇的に効いてしまう場合があり、危険!受動喫煙でも起きるため、家族一丸で禁煙を。
胃腸炎は逆流性食道炎の原因のひとつ。禁煙だけで逆流性食道炎が治ることも。
胃腸炎を悪化させない、再発させないために、禁煙をしましょう!
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